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人生100年時代とライフシフト

未曽有の超高齢社会到来

 過去30年SNSの新たなプラットホームの創出による社会生活の変化とこの先10年AIの代替による仕事の喪失懸念は周知の事実ですが、未曽有の超高齢社会もまた、私たちが経験したことのない社会の到来です。
 2019年日本の100歳以上の高齢者は7万人ですが、国連の推計によると2050年までに100万人超になるといわれています。
 約100年前の1914年に生まれた人が100歳まで生きている確率は1%未満でしたが、2107年の世界では、100歳生きることが普通になっています。
 日本では、2007年生まれの50%は107歳まで生きると推測されているのは驚くばかりです。
 健康、医療、介護、衛生といった多分野におけるイノベーションによって、平均寿命は大きく上昇してきました。
 ここで重要なのは、健康でアクティブに生きる期間が長くなるということです。
 認知症の解明と治療にも、今後大きな期待が寄せられており、長く生きられる可能性はより高くなります。。
 現在、社会の高齢化が進展している国では、医療、介護や社会保障が主要な問題として取り組まれていますが、今後は健康的に若々しく生活する年数が長くなるため、「老い」自体の概念が大きく変わっていきます。
 すると、引退後の生活だけでなく、人生全体を設計し直さなければならなくなるのです。

『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略』

 人生100年時代という言葉の生みの親である英国の経営学者リンダ・グラットン博士は『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略』を著しました。
 リンダ・グラットン博士は、人生を「教育・仕事・引退」という3つステージモデルから脱却し、会社や組織にこだわらず、複数の新たなステージにシフトして生きることが重要であると提唱しました。
 これまで多くの人々は「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩んできましたが、寿命が延びれば、70代、さらに80代まで働くことが当たり前となっていきます。
 また、仕事のステージの長期化に伴い、ステージの移行を数多く経験する「マルチステージ」の人生を生きることも多くなります。
 そこで必要となるのは、画一的な生き方にとらわれず、生涯変わり続ける覚悟です。
 キャリアの選択肢だけでなく、パートナーシップのあり方も問い直されます。
 夫婦が二人とも職を持つ家庭が増え、いずれかがステージを移行する際に、互いの役割を柔軟に調整し、サポートし合うことが求められ、必然的に家族のあり方も多様化していくことになります。
 多くの移行を経験することになる時代では、「何を大切に生き、何を人生の土台にしたいのか」という問いに向き合わざるを得なくなります。
 自分のアイデンティティを主体的に築きながら人生をどのように計画するかが、ライフシフトの重要なテーマになります。

リンダ・グラットン博士より日本人へ

 長寿化は、社会に一大革命をもたらすと言っても過言ではありません。
 人々の働き方や教育、結婚の時期や相手、子どもをつくるタイミングも変わります。 
 余暇時間の過ごし方も、社会における女性の地位も変わるでしょう。
 そして、最も大きく変わることが求められるのは個人です。
 あなたは親の世代とは異なる選択をすることになるし、あなたの子どもたちもあなたの世代とは違う決断をするのです。
 長寿化を恩恵にするためには、まず視野を広げること。
 長く生きられるようになった年月の大半を、私たちは健康に生きることになります。
 人生の締めくくりの時期への準備だけでなく、人生全体を設計し直す必要があるのです。
 世界でいち早く長寿化が進んでいる日本は、ほかの国々のお手本になれます。
 活力と生産性を維持して長い人生を送り、人生の途中で変身を遂げることの重要性を実証するという意味でも、世界の先頭に立ってほしいと思っています。

 ※以上、『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略』「日本語版への序文」から抜粋