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「社会人基礎力に関する有識者プレゼンテーション

「将来メシが食える大人」になるための社会人基礎力 

 花まる学習会 代表 高濱 正伸氏は子どもの育成について次のポイントをあげています。 
      
1、「考える力」の育成
(1)見える力:見えないもの(補助線、立体の裏側、要点、言いたいこと、アイデアなど)が見える力
(2)詰める力:論理力、精読力、やり抜く力、要約力
 上記を鍛えるために、「なぞぺー」というパズルや「ThinkThink」という教育アプリを開発し、活用しています。

2、体験総量を上げる
 特に、何もない野原で遊びを想い描き、それを仲間とやり遂げる力といった、思考力の土台となるような野外体験を実践しているとのことでした。
 また、人間関係力の育成方法として、その野外体験には、異学年、異性、特別支援の子どもなど、多様性が出るような構成にしています。

3、親御さんに寄り添う
 地域崩壊により、孤独な子育てに追い込まれている親御さんが多く、講演会などを通して寄り添うようにしているとのこと。
 そこでのアドバイスや傾聴を通して楽になってもらうことを実践しています。

 高濱氏が土台とする考え方は、
1、年齢が何歳であれ、本人が意思しないとすべて「やらされ」になる
 意識改革をおこなうためには、「何かへの没頭」「親の変革」「一人の師(メンター)との出会い」「親と引き離す」「衝撃体験」「脱皮化(不良行動など)」がキーになり、それらを通して変わることは可能とのことです。
2、教えることではなく、「やる気を持って経験したことだけ」が蓄積する
「没頭する」ことで知識は定着する。
 とことんやりこむことでやり抜く力は育つと述べており、
「経験⇒感じる⇒考える⇒言語化」のループが大切になるとのことでした。

 さらには、多様性のある環境を与えることが重要で、親と社会がその役割を担うべきだと言われる。
 同学年と付き合うだけでなく、上下の学年がいる環境をつくる、または山村留学をさせる、といった普段の環境を劇的に変えることで、子どもはすごく伸びるとのことです。
 
 高濱氏はこのように「メシが食える大人を育てる」という土台を幼少期からつくることに注力しています。

「複業解禁」が日本を救う

 株式会社HARES CEO/複業研究家 西村 創一朗氏は「副業」ではなく「複業」を奨励します。

 アメリカのサーチファームギャロップ社の調査によると、日本にはやる気を持って働いている社員がわずか6%しかおらず、世界139か国中132位です。では、社員がいきいきと働ける社会にするためには何が必要なのでしょうか。
 個人が会社に縛られる関係ではなくなってきています。終身雇用制の崩壊により、会社が個人を守ってくれていた時代が終わりを告げ「御恩と奉公」という関係性から「give&take」とい変わってきています。

 実際に副業を解禁している企業は増えてきており、西村氏はサブという意味の「副業」ではなく「複業」という表記にし、会社に人生を預けていた企業型の人材が少しずつ自律創造型の人材に変わっていくのではないかと言います。
「副業」だとおお金稼ぎが目的になってしまいますが、「複業」では、お金を稼ぐだけでなく、あらゆる創造活動が対象となります。
 
 自分らしい主体性を持って臨んでいくという生き方の実現のために「複業」という表記にしているとのことです。
 会社が従業員をマネジメントという考え方から、会社と社員が対等に、それぞれがリソースを活かし合って、成長し合っていくというアライアンスの関係に変わってきています。
 個人が主体性を持って経験学習を積んでいく、そのような機会を創出していく必要があり、そこに複業が貢献できると述べています。

 西村氏は複業をおこなうメリットについて以下をあげています。
•副収入を得ることができる
•会社ではできないやりたいことに挑戦できる
•スキルアップにつながる
•共通の価値観を持つ仲間とのつながりができる
•会社にしがみつかずに主張できるようになる
 西村氏は、会社が個人の人生を補助してくれる時代は終わったと述べており、会社員をやりながらフリーランスとして働く、あるいは会社に勤めながら起業するといった、多様な働き方が認められる時代になっていくべきだと考えています。

「自分がやりたいからやる」という、内発的な動機から生まれる仕事・行動がイノベーションを生み、会社の枠を超えて活躍できる自律創造型の人材になれるのです。

 高濱氏は「子どもの育成」について、西村氏は「働き方」について述べているが、両者とも既存の教育システムや従来からある労働環境に縛られない柔軟性があり、「ライフシフト」で提唱されているものとも重なるところが多くみられます。