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明日への終活⑨

17.驚きのゴミ屋敷残置物

親が亡くなり不要となった空き家の処分と家財が残る親の家の片づけは、子供世代にとって切実な悩みになります。こうした相続で発生した空き家だけではなく、実際に居住している人が居ても、所謂「ゴミ屋敷」と称される家が近隣住民に迷惑を及ぼし社会問題化しているニュースを耳にすることも多くなってきました。    
ゴミ屋敷まではいかないまでも、空き家になった敷地内にある庭木が隣家にまで入り、クレームになるケースはどこにでもあります。私が成年後見人として支援した男性の自宅の話ですが、精神疾患のため入院していて、両親ともに他界し、兄弟もいません。遠方に叔父はいますが、殆ど交流はありませんでした。私が男性を支援し始めて間もなく、自宅の隣家の人からのクレームで、市役所を通して連絡があり、2年近く空き家になっている建物の周りにある庭木の伐採処理を出来ないかという依頼でした。
私は家の状況を確認するために、初めて男性の自宅を訪れました。鬱蒼とした草木が隣家にまではみ出していました。私は建物周りを確認後、自宅内に入りました。 
玄関を開けると、玄関先は何足もの靴や壊れたビニール傘が散乱していました。1階は和室とダイニングキッチンで、ダイニングテーブルの上には食品の容器や食べ残しの食物がそのままでした。和室も、脱ぎ捨てられた衣服や日用品が無造作に散らかっている状態で、住人が家を空けてから、そのまま時が止まっているように感じました。
2階に上がると、目を疑うような光景に私は立ち竦みました。2階は2部屋ありましたが、部屋がゴミの詰まった無数のレジ袋で溢れていました。階段を上がり切ったところから、うず高く積まれたレジ袋の山が廊下にもはみ出して、床が全く見えないのは勿論、ゴミ袋に遮られ、前に進むことすらできずに、私は階下に戻りました。
ゴミ収集車1台分でも入るかどうかの大量のゴミをどの位の間、溜め込んできたのか。6年前に父母が相次いで亡くなってから、男性は少なくとも4年以上ひとりで暮らしていたと思われ、以後一度もゴミを捨てることなく過ごしてきたと推察されます。
私は業者に依頼してゴミを処分してもらいました。当日私も立ち合いましたが、家から待ち出されたゴミの山は、45ℓのゴミ袋に入れ替えられ、300袋以上ありました。老親と疎遠であったり、普段のコミュニケーションが不足していたりすれば、こうした現実に直面することもあります。もし、自分の実家がこうした状況だったらと想像しただけで、気が遠くなります。特に認知症の親御さんが一人で住んでいる場合は要注意ですね。

18.空き家片付け費用は?

親が亡くなった後、実家の片付けや遺品整理ができずに、そのままにしている人は少なくありません。片付けができない理由をいくつか上げると、
① 残置物の処分を検討しているが、荷物が大量でどこから手を付けたらいいか分から
ない、② 10年以上空き家状態で、家財もそのままになっている、③ 遺品整理の費用の相場がわからず、どの業者に依頼したらいいか分からない、等々
特に、片付け業者の費用の相場がわからずに、二の足を踏んでいる人は意外に多いようです。確かに、遺品整理業者などの見積もりも取ったが、100万円以上の料金を提示された、という話はよく聞きます。特に、遺品の仕分けを必要とする場合、業者に依頼すると費用はかなり高額になってしまうのは事実です。
私は成年後見人をしているので、担当するご本人の自宅の片付けを業者に依頼してやってもらうことがあります。私が初めて手掛けたのは、被後見人の女性が所有する70㎡3LDKの分譲マンションでした。ご主人は他界され、ご本人は施設に入所中です。子供がなく、自宅に戻れる可能性は無かったため、居住しないマンションの管理費を月2万円以上払い続けるのは不要と考え、室内の残置物を撤去してマンションを売却することに決めました。片付けの2業者から相見積もりを取りましたが、2社とも50万円を超えていました。私は初めてのことだったので、「こんなに高いのか」と思いながらも、安価の見積もりを出してきた業者をさらに値切って税込50万円でやってもらいました。普通トラック2台を使用し、スタッフ5名で丸2日かかった作業を見ると、決して高価ではないと納得しました。
次に手掛けたのは、延床面積100㎡超の5LDKの一戸建の家でした。とにかく家電製品ほか物が多い家だったので、結局費用は税込で120万円かかりました。マンションの片付けをやった時よりも廃棄にかかる費用が値上がりし、家電リサイクル法の適用により家電の処分に多くの費用を要しました。                       
家財の片付け処分など何度もやることはありませんが、やる場合は業者の相見積もりを最低2社以上から取ってやるのは言うまでもありません。また、業者が処分に困るものが2つあります。それは仏壇とご遺影の写真です。どちらも頼み込めば、処分はしてくれますが、ご位牌だけは持ち帰りませんので、ご注意ください。