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終活関連お勧め本⑦ 74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる

究極のシンプルライフ

 著者のミツコさんはプロテスタントの牧師です。
 ミツコさんは、牧師の家に生まれ、神学校を卒業後に牧師の夫と結婚して、牧師の妻として4人の子を産み育てました。
 子供も成人し独立した後、病気で引退した夫の代わりに牧師として教会を10年程運営しました。
 夫の死後、現在は家賃6,000円の公営住宅でひとり暮らしをしています。
 ミツコさんは神に仕える牧師さんですから、元々慎ましい生活をしながら、献金を続けていくという生き方をずっとしてきたわけで、私たち一般の者には想像もつかないことも多いです。
 シルバー人材センターに登録し週2回家事のお手伝いをする仕事もしていますが、月7万円の年金が主な収入で、これをやり繰りして生計を立てています。
 世の中にはシンプルライフを掲げ、例えば断捨離をして物質優位な生活からシフトしていく人はいますが、ミツコさんは究極のシンプルライフのように思います。

 牧師であることを除けば、ミツコさんは主婦が本業です。
 主婦の能力が遺憾なく発揮されるのが、生活する上でのお金に関する知恵です。
 若い頃から教会員の皆さんに食事を提供することも多く、特に食費をどう切り詰めて、美味しいものをつくるかが重要です。
 結婚してからずっと限られた収入でどう生活していくかを腐心されてきたように見えます。
 例えば、不要な保険は一切かけず、子供のために唯一学資保険だけはかけたといいます。
 決して物質的には恵まれているとは言えないミツコさんの生活が、豊かに見えるのは何故なのでしょうか。
 ミツコさんの生活スタイルを真似ようとしても到底できないことは分かっていますが、なぜか生活の豊かさを十分に感じます。

「人のため」ではなく、「自分のために」

 ミツコさんの生活スタイルに学ぶのはお金の扱い方以上に、その生き方そのものにあります。
 老後は人に迷惑をなるべくかけることなく生活したいと考えるミツコさんは、健康を保つための体のメンテナンスも欠かせません。
 併せて、食事には気をつかい、体に良いと自ら判断したものは積極的に取り入れようといています。
 一方、笑顔になると免疫力が上がるという情報に共感したミツコさんは「いつも笑顔を」をモットーに家のあちこちに小さな鏡を置いて、表情チェックをしています。
 働くことが日々の張り合い、元気の源と、ミツコさんの週間スケジュールをみると、何らかの仕事で毎日出かけています。
 また、ミツコさんは、かなづちを克服しようと、71歳からプール通いを始めて、チャレンジしています。
 何歳になってもチャレンジしようという彼女の前向きさが素敵です。
 ミツコさんのひとり暮らしのエッセンスはは、超高齢社会のトップランナーとしてのロールモデルになりうるものだと思います。

「人のため」ではなく、「自分のために」
「楽しくないと人生じゃない」と亡き夫は言っていましたが、ミツコさんもその生き方をしています。
そのためには、「いつでも目の前のことを最高のものにしようと向き合っています。
 牧師として説教するときも、シルバー人材センターの掃除の仕事も、ご飯を食べるときも、昼寝をするときも、目の前のことを最高のものにしようと向き合います。
 ご飯を食べるときは、保存容器のままテーブルに出さないようにし、おかずは皿に盛り、ご飯は左、味噌汁は右にと、きちんと並べます。
 また、日常の中にたくさん見つかる小さな発見に目を向けます。それは植木の花が咲いただけで、空が晴れただけで幸せという感覚です。
 そして、「人のため」ではなく、「自分のために」生きることを勧めます。
 人のためだと思うと「これだけやってあげたのだから」と見返りを求めがちになりますが、「自分のためにやっている」のだと思えば、見返りを求めることもなくなります。
 他人に奉仕することが第一の牧師さんでさえ、「自分のためにやる」と言われるのですから、これは本当のことです。
 ミツコさんの豊かな生き方は私たちにたくさんのことを教えてくれます。