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空き家をビジネスにする

分散型サ高住という活用のしかた

 サ高住とは「サービス付き高齢者向け住宅」のことで、バリアフリー対応に加え「安否確認サービス」と「生活相談サービス」を提供します。有料老人ホームの利用者は要介護者が多いですが、サ高住は介護認定なしの人や軽度の要介護者を対象としています。
 サ高住は民間でも運営可能で、始めるにあたり手厚い補助金を受けられることから人気を集め、2011年に制度が開始してから2019年まで全国で7,360棟244,917戸と急速にその数を増やしています。
 サ高住の中には、分散型サ高住と呼ばれるものがあります。
 サ高住は安否確認サービスや生活相談サービスを提供する必要があり、これまではサ高住の敷地内か、敷地に隣接する建物にサービスを設置する必要があったものが、2015年4月に規制緩和され、サービス事業所から500m以内であれば別の建物でよいこととなりました。このことにより、活用されていない一戸建てやマンションの一室等の空き家を活用してサ高住ができるようになりました。
 分散型サ高住は、1戸あたりの床面積が25㎡以上、台所・浴室・洗面設備等を設置すること等、条件を満たす必要がありますが、条件を満たしていれば、一戸建て、アパート、マンションを問わずサ高住用の施設とすることができます。
 分散型サ高住は通常のサ高住と異なり、敷地内もしくは隣接する土地にサービスを提供する施設を設置する必要はありませんが、先に述べたようにサービスを提供する施設からそれぞれの施設までの距離を500m以内とすることが要件となっています。
分散型サ高住は賃貸マンションの1室でも空室となっているところをサ高住にできることから、空室対策の有効な手法となります。
 高齢者向け施設は通常の賃貸物件より立地に左右されにくいという特徴があり、通常の賃貸経営には利用できない部屋でも活用しやすいという点で大きなメリットとなります。
 分散型サ高住の事例としては、「ゆいま~る高島平」があります。
 ゆいま~る高島平は、11階建てのマンション内に点在する空き室30室を全面改修して誕生。安否確認サービスなどの実施にあたるスタッフはこの棟と向かい合わせに建つ建物の1階の一室で待機しています。
 ゆいま~る高島平が設けられたマンションは築40年以上で、現在では高齢化が進み、高齢化率は50%超で、空き室も目立つ状況でした。ゆいま~る高島平は分散型サ高住の制度を導入して空室率を改善し、全国的なサ高住のモデルとなりました

空き家を活用して、不動産投資事業

 最近、30歳~40歳代の企業従事者のなかには、副業をやる人が増えています。副業は様々ですが、その1つに不動産投資があります。
 従来不動産投資家といわれる一部の人たちが都心の中古分譲マンションを安く購入して賃貸するというのが主流でしたが、今は一般の人が気軽に不動産投資をやる時代になりました。
 数年前に年収が500万円にも満たない若者にシェアハウス投資の名目で金融機関が1億円以上の過剰融資をして社会問題化したことがありましたが、不動産投資をするには、まとまった資金が必要だというのは固定観念です。
 私の知り合いでIT関連の会社に勤務する35歳の彼は、郊外の比較的立地条件の良い賃貸の物件を借りて、不動産投資をやっています。
 親から相続した一戸建ての空き家を売却せずに貸したいというというオーナーの意向でしたが、室内には家財ほかの残置物が残り、壁のクロスも一部剥がれていました。最寄駅から10分以内の物件はリフォームして貸せば10万円以上の家賃が取れますが、オーナーは数十万円のリフォーム費を出してまで賃貸するつもりはありませんでした。
 彼はこの物件を現状のまま6万円で借り、自分で室内の残置物を処分し、ホームセンターで買ってきた道具を使って壁のクロスを補修した後に、9万円でネットの賃貸物件サイトにアップして借主を募集しました。
 集客も不動産業者に頼ることなく、情報をアップしてから数日後に契約が決まりました。
 不動産投資家の「表面利回りがいくらになる」等の定石とは全く無縁のようで、軽い小遣い稼ぎの感覚でやってしまう、したたかさには、私も舌を巻きました。
 この話は後日談があって、転貸した彼から借りたのはシェアハウスを運営する業者で、5LDKの部屋の1室をさらに仕切って、学生6名が住むハウスになりました。
 この転貸の転貸をしてシェアハウスを運営する経営者も、30歳代の若者でした。   
 金融機関の甘い誘いに乗せられて多額の負債を抱えてしまう未熟な若者がいる反面、シニア世代には真似のできないビジネスを軽くやってのける若者もいることに、ただ驚くばかりです。
 私が行う貸主と借主をマッチングした空き家活用は、普通の不動産賃貸仲介業者では扱えません。
 今後も空き家を活用して、様々なニーズに応えていければと思います。