BLOG ブログ

空き家バンク運営してます!

越谷市の高齢化と空き家の状況

 2018年の私が住む埼玉県越谷市の人口は 340,206 人であり、そのうち 65歳以上は 83,287 人、高齢化率は 24.5%となっています。コーホート要因法により各歳別の人口推計を行ったところ、総人口は2022 年にかけて増加を続け、その後減少見込みであり、高齢者人口については当面増加傾向が続きます。
 高齢化率については、今後数年間は微増傾向を示すが、少子化と団塊ジュニア世代の高齢化により、2035 年には 28.3%、2040 年には 31.5%となるものと予測されます。。
 全国平均の高齢化率27.7%(2017年公表)に比べると、越谷市は3ポイント以上下回り、総人口も微増にあります。高齢化率を地区別に見ると、新方地区(35.5%)、荻島地区(30.4%)桜井地区(28.3%)などで市全体の割合を上回っています。
 一方、大相模地区は越谷レイクタウンへの人口流入が続いていることから、高齢化率は 16.4%にとどまっており、市内の各地区で高齢化の状況に違いが生じています。

 総務省統計局の2013年住宅・土地統計調査結果によると、越谷市の空き家数16,680戸の内、賃貸用及び売却用等を除いた「その他の住宅」は4,760戸(空き家総数の29.0%)になっています。
 空き家の増加はいくつかの要因が考えられますが、越谷市においては戦後の高度成長期に戸建て住宅を購入し、子世代も独立し、相続しても住まずにそのままになっているケースが典型と推察されます。
 また、空き家の活用が進まない大きな理由の1つは、、費用をかけてまで老朽化した家屋をリフォームして賃貸等に供することは考えないという所有者側の事情があります。

越谷市住まい・まちづくり協議会

 私が所属する越谷市住まい・まちづくり協議会(以下、「協議会」という)は、1986年に越谷市との開発指導要綱の運用に関する勉強会から発足した越谷市街づくり協調会(以下、「協調会」という)を起源とする任意団体です。協調会では、1.行政への提言、2.土地区画整理事業、3.建築協定による街づくり支援、4.街づくりガイドラインの作成等を行ってきました。
 協議会は、官民学連携による住まい・まちづくり分野におけるプラットホームを構築する理念のもと、2012年に設立し、空き家問題を居住福祉という視点で取り上げ、越谷市から委託を受け、月に2回市役所庁舎内で「空き家・空き室・空き地に関するなんでも相談会」を開催する一方、所有する空き家等を売却したい、賃貸したいという人に「空き家バンク」に登録いただき、これを運営管理してきました。
 この間、空き家対策特別措置法が成立し、越谷市空き家対策計画策定など行政の体制も進んできました。越谷市では2019年度以降公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会越谷市と協定を結び、空き家相談に関して一元的な仕組みを作りました。

越谷市空き家バンクと最近の活用事例

 宅地建物取引業協会が主導する空き家等相談会では、不動産流通市場で対応できる物件しか扱えない場合もあり、当協議会では立地や建物の状態によって売ったり貸したりが容易にできない案件でも対応しています。
 空き家等相談会は役所内から場所をかえて引き続き継続し、空き家バンクも越谷市では設置していないため、協議会が従来どおりやっています。
 最近の空き家活用事例を1つご紹介します。
 市内市街化調整区域内にある60坪の敷地に居住用の母屋と増築した作業所が付いた築48年の物件です。所有者の方は木工職人でしたが、数年前に亡くなり、長男が相続しました。長男は市外に自宅があり、この生まれ育った実家には戻るつもりはありませんでした。長男はこの家を売却するつもりで、不動産業者に相談しましたが、建築基準法上の問題があり、売却は難しいと断られたそうです。
 この長男から相談があり、売却ではなく賃貸ならいけると判断しましたが、作業場や母屋には残置物がそのまま残っています。室内に残置物のある物件は賃貸でも不動産業者では扱えません。協議会の空き家バンクに登録していただき、情報を公開したら、すぐに問い合わせが10件近くありました。
 賃料は安いですが、屋内の残置物は全て借主が処分し、設備関係の不具合も借主が費用負担するという条件です。
 さすがに、現地を見学した殆どの人が自分では活用できないと諦めましたが、モノづくりを生業とする若者は、作業所にあった工具ほかの残置物をほとんど捨てるものはなく使えると言いました。
 100人中99人は活用できない空き家でも、最後の一人は喜んで活用してくれる人がいるという例です。
 今後も空き家バンクを通して、空き家を貸したい人と借りたい人のご縁を繋いでいきたいと思います。