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ライフシフトモデル③ 理想の子ども社会を創る元気マザー変革者

人を巻き込むケタ外れの活力資産

 青山享美(きょうみ)さん(ご本人の了承を得て、実名で紹介させて頂きます)は小学校5年生の女の子と小学校3年生の男の子の2児を育てるシングルマザーで、地域で子ども食堂を運営する団体の代表も務めています。
 青山さんは、とにかくケタ外れにエネルギーが強く、元気のかたまりみたいな人で、彼女の周りには、いつもたくさんの人で溢れています。
 青山さんはゼミ参加者の中で一番の活力資産の持ち主です。活力資産は人に幸福感をもたらし、やる気をかき立てる資産を指します。具体的には、肉体的・精神的健康や、友人や家族との良好な関係などです。
  
 青山さんたちのグループは2018年春に地域で空き家になっていた古民家を改装し、子ども食堂『ぽらむの家』を開設しました。
「ぽらむ」とは韓国語で「やりがい」という意味です。
 子ども食堂は、子どもやその親、および地域の人たちに対し、安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供するために、2010年代頃より活動が活発化し、孤食の解決、子どもと大人たちの繋がりや地域のコミュニティの連携の有効な手段として、全国的に急増していて、その総数は、2018年時点で全国2千か所以上と言われています。

『ぽらむの家』の特徴は、青山さんの「うちは誰でもウエルカムよ」の言葉どおり、子どもたちだけではなく、親は勿論、地域の高齢者や障がい者の皆さんも利用しています。
 毎週月曜日の夕方、子どもたちに交じって、ボランティアの学生、杖を持ったお年寄りや車いすの方も合わせて、50~60名が利用しています。
 子ども食堂は、食事を提供するだけでなく、「居場所」としての機能が大切です。
 しかし、コロナ禍の影響で、子ども食堂の多くが一時活動を休止しなければならない状況になりました。

未来の子どもたちへの揺るがないまなざし

 青山さんたちは、子ども食堂ができない代わりに、給食センター等から寄付してもらった食材を小分けして配給する活動を開始しました。
 コロナ禍で職を失ったり、減給になったりした親御さんからは大変喜ばれましたが、いつも子ども食堂に来ていた男の子が来なくなりました。食材をもらっても、家に調理してくれる親がいないのです。
 青山さんは、「学校は休校、学童保育は休み、家に居れば安全というけれど、それはおかしい」と真っ向から反論します。
「こういう時だからこそ、子どもたちには余計に居場所が必要なのよ」言い切ります。
 親が仕事でいない学校が休みの子どもたちを10人ぐらい自宅に招いて、昼食を一緒に食べました。
 普通の子ども食堂の経営者はここまではやりません。「もし他人の子どもを預かってコロナに感染させてしまったら」というリスクを回避することを選択します。
 でも、青山さんは「子どもたちに一番何が必要か」という根底にある思いは少しも揺らぐことはありません。
「こんなコロナの時だからこそ、ピンチをチャンスに変えるのよ」とどこまでも前向きです。

 青山さんは、コロナ禍で新たな事業を始めました。
 毎週水曜日に学生ボランティアに協力してもらい、学習支援活動を開始しました。
 続けて「未来の子どもたちを創っていく」という壮大な理念のこと、学生たちと協同して、地域多世代サークル『こずもす』を設立しました。
「こずもす」はギリシア語で「世界」という意味。
 青山さんのまなざしは、未来の子どもたちの世界を見据えています。