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おひとりさまの生活事情

おひとりさまのお金の問題

 急増する生涯未婚率と老後のお金の不安は、切り離せない関係にあります。
 総務省の「家計調査報告(2018年平均結果)」によれば、60歳以上の単身無職世帯の消費支出は1カ月平均14万9603円という結果です。
 一方、厚生労働省が公開した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(2017年度版)」によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額(老齢年金)は、2017年度末現在で14万7051円となっています。
 持ち家があり、出費を抑えることができるのであれば、この年金でなんとかやっていけるかもしれませんが、家賃支払いや医療・介護にかかる費用ほかを考えると、老後の費用は足りないと感じる方も少なくないと思われます。
 また、将来年金受給年齢の引き上げや減額の不安が大きく、おひとりさまは意識的に老後資金を貯めるようにすることが必要だと言えます。

 内閣府による「2017年版高齢社会白書」では、金銭状況について「家庭にゆとりがある」という答えはわずか8.7%でした。
「ゆとりはないが何とか暮らしている」が21.7%、「ゆとりがなく心配」が34.8%と、ゆとりがないと感じている人も多くいます。
 ゆとりが持てる老後にするためにはどうすればよいのでしょうか。

 老後資金を貯めようと思っても、具体的な金額を決めなければ実行に移しにくく、まず自分は老後どれくらいの生活費が必要になるかということを計算するところから始めることです。
 例えば、現在の毎月の生活費が20万円とします。一般的には老後は現役時代の生活費の7割~8割程度が必要と言われていますが、少し余裕をみて月18万円とします。
 65歳まで働き、その後85歳までに必要な金額は18万円×12カ月×20年=4,320万円必要です。
 この月額から先述の年金給付額(平均)の約15万円を引くと約3万円×12カ月×20年=720万円の差額が出るので、この分を自分で用意しなくてはいけません。
 但し、年金額は現役時代の年収によるので、これよりも少ない場合もありますので、現役で働けるうちにもっと貯めなくてはいけない場合もあります。
 また、医療の発達により、85歳以上でも生きられる可能性も高く、余裕を持って準備をする必要があります。
 お金を貯めるには現金を銀行に預ける銀行預金だけではなく、投資信託、外貨預金、株、債権などさまざまな手段があります。

 私は金融の専門家ではないので、これ以上の言及はしませんが、老後の資金づくりに一番有効なのは、なるべく長く働き続けることだと思います。
 少子化による生産労働人口の減少や雇用年齢の延長により、70歳まで働くことが一般的になります。
 老後資金を少しでも増やせるように貯蓄をするのは勿論ですが、それ以上に健康で長く働き続けられるように、自らの環境を整えることが重要です。

おひとりさまの住宅問題

 老後の住まいの確保は、おひとりさまの大きな問題のひとつです。      
 賃貸物件に住んでいる人は、「家賃を払い続けられるか」「老後も貸してもらえるのか」という心配があります。
 賃貸住宅の場合、一般的な賃貸借契約であれば、更新を断られる心配はほとんどありませんが、新たな物件を借りたい場合は、オーナ―が孤独死などのリスクを考え、断られることも少なくありません。

 現在、日本の持家比率は約61%(全世代平均)ですが、過去の推移から見ても、今後の大幅上昇はあまり望めない状況にあります。
 仮に、前提条件を甘くして、この持家比率が65%まで上昇したとしても、2040年には約320万人の高齢者が自分の家を持たない状況になります。
 これら高齢者は、高齢者向け施設、公営賃貸住宅、民間の一般賃貸住宅に住むことになります。
 しかし、施設や公営賃貸住宅で受け入れるには限度があり、大部分を民間の一般賃貸住宅に頼らざるを得ない状況にあると考えられます。
 一方、持ち家の場合は、家賃の支払いはありませんが、固定資産税のほか、マンションなら管理費や修繕積立費が毎月かかり続けます。
 そして一戸建てでも、修繕費やリフォーム代が10年~20年おきにかかることも念頭におくことが必要です。

 自宅の維持そのものが負担になっているのなら、『リバースモーゲージ』の利用があります。
 自分の死後は物件を引き渡すことを条件に、お金を借りるという方法です。
 持ち家のあるおひとりさまに、自宅(持ち家)を担保にしてお金を借りる、高齢者向けの融資制度です。
 最大のメリットは、生きている間は自宅に住み続けられることです。
 死亡後には自宅が売却され、その代金を融資の一括返済に充てられます。
 但し、借りられる金額や契約できる年齢などはさまざまです。
 対象は首都圏に限定されていることが多く、一定評価額以上の基本的に一戸建てが多く、マンションは対象外だったり、地域によっては対象外となる場合もありますので、確認が必要です。

 もう一つ、持ち家のあるおひとりさまには、『リースバック』があります。
 リースバックとは、自宅をリースバック会社に売却し、売却代金を受け取る一方で、買主にリース料を支払って自宅に住み続ける仕組みです。
 売却代金は一時金で受け取れます。物件は主要都市に限られ、最低価額が設けられていることもあります。
 引っ越しをせずに住み続けられる点が大きな特徴です。
 リースバック会社によって条件などが異なりますので、こちらも確認が必要です。