明日への終活⑧
15.高齢者居場所は趣味の場
「高齢者の孤独」について以前ご紹介しましたが、今回は「高齢者の居場所」についてです。高齢者のコミュニティは色々ありますが、すぐ思い浮かぶのは、男性の場合、将棋・囲碁・麻雀の会、女性の場合、踊り・ダンス・ヨガ等々、趣味のサークルです。カラオケとゲートボールは男女ともに人気があります。趣味のコミュニティは同時に「高齢者の居場所」にもなっています。また、認知症高齢者を対象とした認知症カフェもあります。認知症高齢者とその家族が集える場所で、お茶や軽食を楽しみながら参加者同士が交流を図り、介護にまつわる専門家が情報提供をしてくれます。当事者だけではなく、地域住民や大学のボランティアサークルの学生など、一般の人の参加も可能で、気軽にコミュニケーションを楽しむ場として機能しています。「カフェ」という名前が付いていますが、会場も介護施設の共有スペースから公民館、個人宅、レストランなど多岐にわたります。認知症当事者だけでなく、家族の居場所としても意義あるものです。 高齢者の居場所について、友人から聞いた興味深い話があります。友人はゲームセンターによく行きますが、日中のアミューズメントは高齢者ばかりだそうです。ゲームセンターに行かない私はシステムがよくわかりませんが、4円パチンコよりも1円パチンコの方が高齢者に人気があります。低額で長く遊べるというところが魅力だそうです。いまのゲームセンターは、高齢者同士の憩いの場に見えると話してくれたのが印象的でした。 大手パチンコ店グループが、ギャンブルと介護を合体させたデイサービス総合施設を首都圏でオープンしました。パチンコ、パチスロ、麻雀、トランプ何でもあり、通常のデイサービス同様、食事・入浴・送迎にも対応しています。施設のスローガンは「仕方なく行く場所」でなく「どうしても行きたい場所」を目指す。ここではギャンブルをやるために施設内だけで使える特別な通貨を手に入れる必要があります。通貨を手に入れるには、身体機能改善のためのリハビリ体操やデイサービス内のリクリエーションに参加して通貨をゲットするという仕組みになっており、ギャンブルをやるために、デイサービスに通いたくなり、結果的に身体機能の改善や維持ができるようになるというのが狙いです。ギャンブルが介護と相性が良いというのは、パチンコ屋さんならではの発想ですね。
16.8050問題の行方
最近、知り合いのケアマネジャーからよく聞く話があります。「高齢者の介護保険の利用相談で自宅に伺うと、50歳前後のいわゆる“ひきこもり”の息子がいて、自分のことより子どもの将来を案じて話されるのですけど、お応えすることができない、というものです。
2019年に内閣府から発表された「生活状況に関する調査」において、40歳から64歳までの中高年層のひきこもりが全国で61.3万人いると推定され、大きな話題になりました。前回の調査では15歳から39歳までの推計は54万人。中高年のひきこもりは、若年層よりも多いという衝撃の数字でした。
社会との接触を断ち、仕事もせず、自分の部屋から一歩も出ない、ひきこもりの若者が増えていることは周知のとおりです。ところが、ひきこもりが長期化すると、若者個人だけではなく、家族全体にまで悪影響を及ぼすようになります。
「8050問題」は、80代の親が50代の子どもを経済的に支える必要がある状態を指します。子どもは仕事がなく収入もないため、親の年金が一家の主たる収入源になります。
従来は、80代の高齢期を迎える頃には、仕事をリタイアして年金を収入源とした生活を送り、子どもや孫に支えられながら余生を送るのが一般的でした。
ところが8050問題を抱える家族の場合、定職に就かない子どもをいつまでも親が扶養しなくてはなりません。わずかな年金だけで夫婦、そして子どもの生活費を賄っていくのは限界があり、親が高齢になるほど、医療や介護の支出も多くなるため、家計が破綻するリスクも大きくなります。親が現役ならば収入もある程度は見込めるため、ひきこもりの子どもを養っていくのはそう難しくなかったでしょう。しかし、親が定年を迎え、経済的にも体力的にも衰えた状態で、以前と同じような生活レベルを維持していくのは、難しい状況になります。
親亡き後のひきこもりの子どもは、親が遺した預貯金を使い果たした後に、相続した自宅も売却しなければならない日がいつか訪れます。厳しいようですが、これが現実です。厚生労働省は「ひきこもり対策推進事業」を発足し、ひきこもっている本人、その家族の相談などを受け付ける「ひきこもり地域支援センター」を地域で立ち上げ、各家庭にあった自立支援をおこなっていますが、その成果はまだ充分とは言えません。また、最近増えてきた女性のひきこもりに対する支援は、内閣府が「女性のためのつながりサポート事業」を主導していますが、高齢者を含めた女性のひきこもりは今後より大きな社会問題になると懸念されます。
2019年に内閣府から発表された「生活状況に関する調査」において、40歳から64歳までの中高年層のひきこもりが全国で61.3万人いると推定され、大きな話題になりました。前回の調査では15歳から39歳までの推計は54万人。中高年のひきこもりは、若年層よりも多いという衝撃の数字でした。
社会との接触を断ち、仕事もせず、自分の部屋から一歩も出ない、ひきこもりの若者が増えていることは周知のとおりです。ところが、ひきこもりが長期化すると、若者個人だけではなく、家族全体にまで悪影響を及ぼすようになります。
「8050問題」は、80代の親が50代の子どもを経済的に支える必要がある状態を指します。子どもは仕事がなく収入もないため、親の年金が一家の主たる収入源になります。
従来は、80代の高齢期を迎える頃には、仕事をリタイアして年金を収入源とした生活を送り、子どもや孫に支えられながら余生を送るのが一般的でした。
ところが8050問題を抱える家族の場合、定職に就かない子どもをいつまでも親が扶養しなくてはなりません。わずかな年金だけで夫婦、そして子どもの生活費を賄っていくのは限界があり、親が高齢になるほど、医療や介護の支出も多くなるため、家計が破綻するリスクも大きくなります。親が現役ならば収入もある程度は見込めるため、ひきこもりの子どもを養っていくのはそう難しくなかったでしょう。しかし、親が定年を迎え、経済的にも体力的にも衰えた状態で、以前と同じような生活レベルを維持していくのは、難しい状況になります。
親亡き後のひきこもりの子どもは、親が遺した預貯金を使い果たした後に、相続した自宅も売却しなければならない日がいつか訪れます。厳しいようですが、これが現実です。厚生労働省は「ひきこもり対策推進事業」を発足し、ひきこもっている本人、その家族の相談などを受け付ける「ひきこもり地域支援センター」を地域で立ち上げ、各家庭にあった自立支援をおこなっていますが、その成果はまだ充分とは言えません。また、最近増えてきた女性のひきこもりに対する支援は、内閣府が「女性のためのつながりサポート事業」を主導していますが、高齢者を含めた女性のひきこもりは今後より大きな社会問題になると懸念されます。