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明日への終活②

3. エンディングノート活用を

終活は残された家族が苦労しないようにといった側面が強く、家族の在り方が多様化する中で変化するニーズに対応しきれていな現状です。           
おひとりさまの場合、財産や家財の整理、葬儀やお墓等さまざまな意思表示を、全て当事者がやらなければなりません。現在、病院に入院する時や施設に入所する時は9割以上が保証人を求められます。通常、家族の方が行いますが、身元保証してくれる人がいないおひとりさまも増えています。                     
病院で保証人が求められる理由としては、①医療行為の説明、②入院費の保証、③万一お亡くなりになった場合の引取りです。
こうしたおひとりさまのニーズに応える身元保証代行サービスというものがあります。身元保証を代行してくれるサービスはお金を払えば利用できますが、手術をするか否か、延命措置をするか等は本人の同意が必要です。本人の意思表示ができない時には家族の意向を求められます。ただ、身寄りがないおひとりさまの場合、本人の意思確認ができない時は誰かが判断しなければなりません。
この課題に対して出来ることは、自分の意思を予めはっきりさせておくことが必要で、エンディングノートの活用が有効な手段の1つになります。
おひとりさまの終活は、後見人や住まい、葬式などの問題への対処法が重要になります。
身元引受人になってくれる人がいない場合は、身元保証を含めた、高齢者向けのサポートサービスを提供する事業者もあります。
おひとりさまには、定期的に安否確認の訪問をしてくれる見守りサービスや緊急事態にボタン操作で駆けつけてくれる緊急通報システムがあります。これらは、多くの自治体でも行っており、高齢者のおひとりさまを対象に、安否確認訪問や見守りを兼ねた弁当宅配などを実施しています。
自分の死後について希望がある場合は、その内容を指定し、実行を託す『死後事務委任契約』を結んでおくと安心です。                                            
死後事務委任契約で委任できることは、医療費の支払に関する事務、家賃・地代・管理費等の精算に関する事務、施設利用料の支払と入居一時金等の受領に関する事務、通夜・告別式、火葬・納骨、埋葬等に関する事務、行政官庁への諸届事務などです。
死後事務委任契約は友人・知人とも結べますがが、法律上の手続きが多いので、法律のプロである弁護士、司法書士、行政書士に頼むのが一般的です。

4.介護保険とサービス利用

中山純子さん〈仮名、以下人物は全て仮名〉は72歳で、78歳になる夫の隆さんとS県T市に2人で住んでいました。隆さんは、最近外出する機会が徐々に減り、自宅近辺を散歩するのが唯一の日課でしたが、最近は散歩するのも億劫になってきたようで、ソファーに腰かけて、日中テレビを観て過ごしていました。
以前は穏やかな隆さんでしたが最近些細なことで声を荒げることが多くなり、純子さんはストレスになっていました。加えて、先日自宅の居間で転び、膝を痛めて、室内でも何かにつかまって歩かなければなりませんでした。
純子さんは、夫が歩けなくなり、要介護状態になることを心配して、居住する地域にある地域包括支援センターに連絡すると、要介護認定調査を受けること勧められ、翌週には市役所から担当が自宅まで来てくれました。担当者が来ると、隆さんは愛想よく応対し、質問にも調子よく応えていましたが、記憶に関する項目はうまく応えられなかったように純子さんは思いました。
要介護認定をされると非該当(自立)の場合を除き、要支援1から要介護5までの認定結果が介護保険被保険者証に記されて、市役所から届きます。介護保険は介護保険料を払って、介護が必要になった時に、ホームヘルパーやデイサービスなどのサービスを費用の原則1割負担で使えるという制度ですが、1か月に介護保険を1割負担で利用できる限度額が要介護度別に決められています。
要介護認定調査を実施してから約1カ月後に、調査結果が市役所から郵送で送られてきて、隆さんの認定は要支援2でした。隆さんを担当するケアマネジャーの安田さんは、デイサービスの利用を提案しました。「中山さん、現在あまり外に出られないようですね。先日も家の中で転ばれて、膝を痛めたとお聞きしました。このまま家にいるだけだと、徐々に歩けなくなってしまうリスクもありますね。デイサービスをよかったら利用してみませんか?」安田さんの話を黙って聞いていた隆さんは答えました。「俺はそういうの、嫌いだ。俺は行かない。歩くのもできる」隆さんはおもむろに立ち上がると室内を歩き始めました。
「中山さん、お気持ちはよく分かりました。それでは1回だけお試しで行ってみるのはいかがですか?もし1回行って気に入らなかったら、続けて行かなくて構わないので」安田さんの強い熱意に押され、隆さんはデイサービスをお試し利用することを決めました。利用当日、デイサービスでカラオケをやった隆さんは、上機嫌で帰ってきました。安田さんはデイサービスの管理者に、隆さんが歌好きの情報を伝えておき、当日カラオケをやってもらいました。現在、隆さんは週2回のデイサービスを楽しみに通所しています。