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明日への終活①

1. 終活で大事なのは、まずお金?

終活では直接取り上げられることはあまりありませんが、終活でお金の問題は外せないと私は考えます。医療・介護・保険・葬儀・お墓などの問題は全て、老後資金の問題と切り離せない関係にあります。
総務省の「2018年家計調査報告」によれば、60歳以上の単身無職世帯の消費支出は、1か月平均14万9603円という結果です。一方、厚生労働省が公開した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額(老齢年金)は2017年度末現在で14万7051円となっています。
持ち家があり、出費を抑えることができれば、年金でなんとかやっていけるかもしれませんが、家賃支払いや医療・介護にかかる費用ほかを考えると、老後資金が足りないと感じる方も少なくないと思われます。
また、将来年金受給年齢の引き上げや減額の不安も大きく、預貯金に余裕がある方を除き、老後資金を準備することが必要だと言えます。
老後資金を貯めようと思っても、その金額目標を決めるために、まず自分は老後どれくらいの生活費が必要になるかということを計算するところから始めましょう。
例えば、現在の毎月の生活費が20万円とします。一版的に老後は現役時代の生活費の7割~8割程度が必要と言われていますが、少し余裕をみて月18万円とします。      65歳まで働き、その後85歳までに必要な金額は18万円×12カ月×20年=4,320万円です。この月額から年金給付額(平均)の約15万円を引くと、3万円×12カ月×20年=720万円を最低用意しなくてはなりません。
ただし、年金額は現役時代の年収によるので、これよりも少ない場合もあり、現役で働けるうちにもっと貯蓄しなくてはいけない場合もあります。
また、平均寿命も年々延びて、85歳以上生きられる可能性も高く、余裕を持って老後資金を準備する必要があります。                                           老後資金の獲得に一番有効なのは、年金受給開始年齢を繰り下げて、受給を増額しつつ、なるべく長く働き続けることだと思います。2021年4月施行された改正高齢者雇用安定法では70歳までの高年齢者の就業機会の確保が努力義務となり、今後70歳まで働くことが当たり前になります。
老後資金を少しでも増やせるようにするのはもちろんですが、それ以上に健康で長く働き続けられるように、自身の心と体を整えることが大切です。

2. “おひとりさまの時代”がくる!

戦後まもなくは50歳台だった日本人の平均寿命も年々延びて、現在男性約81歳、女性87歳になっていますが、団塊世代ジュニアと言われる人たちが65歳を超える2035年に高齢化率は33.4%、つまり3人に1人が65歳以上になると推計されていることから考えられる様々な課題のことを「2035年問題」といいます。
2015年の国勢調査によると、調査年に50歳の男女のうち結婚歴がない人の割合である生涯未婚率は、男性23.4%、女性14.1%という結果でした。男性は約4人に1人、女性は7人に1人が生涯一度も結婚していないということになります。
この生涯未婚率、1990年の調査では、男性5.6%、女性4.3%でした。それ以降は調査の回を重ねるごとに割合が上昇しており、今後も増えていくと予想されます。
もう1つの2035年問題が、この時期に生涯未婚者、離婚者、配偶者亡き後のおひとりさまなど、独身者世帯が全世帯の50%になると言われています。
“おひとりさま”が増えていくと様々な問題が発生します。例えば、
・おひとりさまが認知症になったらどうなるの?
・おひとりさまが施設に入所する時に、身元保証はどうするの?
・おひとりさまが病院に入院して意識がなかったら、延命するかを誰が判断するの?
・おひとりさまが亡くなったら、誰が葬儀の手配や死後の手続きをするの?
・おひとりさまの遺産はどうなるの? 
・親族には財産を残したくない
・死後のペットの世話をしてほしい等々、多岐にわたります。
また、おひとりさま問題の究極が「孤独死」です。孤独死は、孤独で亡くなり、引き取り手のない無縁死のことですが、内閣府の「2018年版高齢社会白書」によると、2016年の東京23区内の65歳以上一人暮らし死亡者のうち、自宅での死亡者数は3,179人となり、この東京23区内の孤独死データを基にすると、全国では年間4万人の高齢者が孤独死で亡くなっていると推察されます。
これがいかに大きな数字かというのは年間交通事故で亡くなる人は約2,600人ですから、その15倍以上です。
いま誰にもみとられることなく亡くなる人は、決してめずらしくない時代になったのです。